むび猫ブログ

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クライ・マッチョを見てきました!

クライ・マッチョを見てきました!

一言で言うと上質なロードムービーです。

1.概要

監督
クリント・イーストウッド

脚本
N・リチャード・ナッシュ
ニック・シェンク

出演者
クリント・イーストウッド
エドゥアルド・ミネット
ドワイト・ヨーカム
フェルナンダ・ウレホラ
オラシオ・ガルシア・ロハス
Ana Ray

2.あらすじ

アメリカ、テキサス。ロデオ界のスターだったマイクは落馬事故以来、数々の試練を乗り越えながら、孤独な独り暮らしをおくっていた。そんなある日、元雇い主から、別れた妻に引き取られている十代の息子ラフォをメキシコから連れ戻すという依頼を受ける。犯罪スレスレの誘拐の仕事。それでも、元雇い主に恩義があるマイクは引き受けた。男遊びに夢中な母に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリとともにストリートで生きていたラフォはマイクとともに米国境への旅を始める。そんな彼らに迫るメキシコ警察や、ラフォの母が放った追手。先に進むべきか、留まるべきか?少年とともに、今マイクは人生の岐路に立たされる――。

3.感想

 人生のやるせなさと出会いの大切さを思い出させてくれました。
 ラフォは遊び人の母に嫌悪感を抱き、父には捨てられたと思って、誰も信じられない心を閉ざした少年になってしまいました。自分の飼っている鶏にマッチョと名付け、彼に自己投影をして自分の弱さから目をそらして生き抜いていました。そこにマイクがやってきて、人を信用することの大切さを教えてくれます。旅の途中で出会った家族からは人の愛の温かさを教えて貰います。逆に、マイクもラフォに自分の弱さを見せることで自己開示をして、過去を受け入れることができました。人間は年齢にかかわらず、お互いを信用しあうことで理解しあえるのです。
 その後マイクに騙されたと思って激高するラフォですが、マイクときちんと話し合うことで自分を見つめなおし、父の元へ行くという選択をします。嫌なことから逃げようとしてきたラフォが自分で選択をしたことは立派な成長であると思います。また、最後にはあれほど可愛がっていたマッチョをマイクに託します。これは、自己投影するのではなく自分で自立して生きていきたいという意志の表れなのではないでしょうか。また、マッチョを受け取ったマイクも、一度は「バーベキューにする」というものの、大切にすると約束します。ラフォは旅の中でマイクが信用できる人物であり、口ではどう言っていてもマッチョを大切にしてくれると感じたからこそマッチョを託したのだと思います。
 マイクは最後にいつでも頼ってくるようにとラフォに言い、二人は別れます。人を信用できなくなっていたラフォには、受け入れてくれる人や場所が必要だったのだと感じました。ラフォは結局父に利用されることになってしまいましたが、自分を受け入れてくれる人がいるという事実は、彼の心の支えになることでしょう。

スパイダーマンNWHを観てきたぞ!

スパイダーマンNWH(ノー・ウェイ・ホーム)を観てきたぞ!

というか本当は公開日に観に行ってました。観た人なら分かると思いますが余韻に浸ってしばらく行動不能に陥ってました。

それくらい衝撃的な映画でした。なので感想を語っていこうと思います。


※ネタバレするので未視聴の方はご注意下さい。


1.始まりはドジっ子おじさん

 みんな大好きドジっ子おじさんことドクター・ストレンジ、今作もやらかしてくれました。
 ドクター・ストレンジを演じるベネ様は、オフでもスパイダーマン役のトムホ君と仲が良く、ネタバレしがちなトムホ君のストッパー役となっているわけですが——映画内ではスパイダーマン(ピーター)に負けず劣らずの問題児っぷりを披露してくれました。

 前作で自分が起こした騒動(こちらもドジっ子おじさんミステリオ関係)のせいでMJとネッドがMIT(マサチューセッツ工科大学)に入学できなかったことを悔いるピーターは、ドクター・ストレンジの元に助けを求めてやってきます。ドクター・ストレンジは、自分の魔術を使って「みんなの記憶からスパイダーマンの正体を消すこと」で、問題の解決を図ります。一度はそれに同意をしたピーターですが、いざ魔術が始まった所で「MJの記憶は残して」「メイも」「ネッドも」「ハッピーも」「関わった人みんな」と次々に魔術の書き換えを要求し、結局魔術が暴走して箱に閉じ込めることになりました。

 「魔術の書き換えは危険だ」と初めに忠告していたくせに頼まれるとホイホイ言うことを聞いてしまうのは問題ですよ。あと、魔術が暴走した後に「君が子供だということを忘れていた」なんて台詞を吐くのですが、後にどう考えてもドクター・ストレンジの方が子供っぽい行動を取るので、特大ブーメランにしか思えませんでした。

2.ヴィラン

 ドクター・ストレンジの魔術が暴走してしまったわけですが、その隙にマルチバースからヴィランが侵入してきてしまいます。
 ドクター・オクトパス、グリーンゴブリン、サンドマンリザード、エレクトロ。見覚えのあるキャラクターたちばかりで劇場は歓喜の嵐でしたね! 全員「スパイダーマン」「アメイジングスパイダーマン」に登場したヴィランです。

 はじめは彼らを元の世界に返そうとするピーターでしたが、メイに諭されて彼らを「治療」し人間に戻すことを決意します。しかし、ドクター・ストレンジはあくまで彼らをヴィランのまま元の世界へ返すように説得します。それが彼らの運命であると。ピーターはそれに反抗し、ドクター・ストレンジから魔術を封印した箱を奪って逃走します。

 ここからいつものドクター・ストレンジお得意「時空をねじ曲げるアレ」が始まります。スパイダーマンとはいえ男子高校生を捕まえるために全力の実力行使をすな。そんなんだからいつもドジ踏むんだぞ、などと思ってしまいましたが、スパイダーマンもなかなか手ごわいもので、魂を体から弾き飛ばされても自分の体を操作してドクター・ストレンジを翻弄していました。あのシーンには笑っちゃいましたね。ドヤ顔で箱を奪おうとしたらまさかの展開で、ドクター・ストレンジもさぞかし焦ったことでしょう。マント君の活躍も虚しくピーターを取り逃がしてしまいました。その上スリング・リングを奪われ、自分の作り出した「ミラー・ディメンション」に閉じ込められてしまいました。いやー、ドジっ子ここに極まれりですね。とはいえ彼がずっといると話の展開上都合が悪いので(魔術が便利すぎる)、あれくらいのドジで一時退場してもらうのが都合がいいのかもしれません。

3.メイとの別れ

 邪魔者がいなくなったとばかりにヴィランたちの「治療」に取り掛かるピーター。順調に彼らの治療薬を製作し、ドクター・オクトパスをアームに支配される前の元の性格に戻すことに成功します。しかし、一見協力的に見えたグリーンゴブリンことノーマン・オズボーンが暴走し、エレクトロをそそのかして暴れまわり攻撃を開始しました。その戦いのさなか、ピーターを助けようとしたメイはオズボーンのグライダーで致命傷を負い、命を落としてしまいます。

 おそらく鑑賞した誰もが涙したであろうシーンです。「呼吸を整えさせて」と最後までピーターを心配させまいとする——否、自分が死ぬ運命にあるとひとかけらも感じていないであろうメイの態度と、床に広がる血の量に、助けられないと悟ったピーターの表情があまりに悲しくて号泣しました。トムホ君は悲しみを演じるのが本当に上手だと思います。駆け付けたハッピーとピーターの視線が絡み、ハッピーがすべてを悟って叫ぶシーンにも絶望感を掻き立てられました。

 連絡がつかなくなったピーターを心配して、何とかピーターを探そうとするMJとネッド。そこでネッドが「スリング・リング」でゲートを開くことに成功します。「ピーター・パーカーに会いたい」と念じて開いたゲートからやってきたのは、なんとアンドリュー・ガーフィールドトビー・マグワイア(全員ピーターでややこしいので役者名で失礼)。

 スパイダーマンファンの歓喜の叫びが聞こえた気がしました。ネッドのおばあちゃんに頼まれて(というかうまいことそそのかされて)蜘蛛の巣掃除をするアンドリューピーターがとてもかわいかったです。威圧的にさせると従わないけれど人助けの為なら何でもする彼らしい行動だと思いました。
 彼らの助けもあって(スパイダーマンはみんな思い入れのある高いところが好き)、MJとネッドは無事にピーターを見つけることができました。何も言わずにピーターを抱きしめる二人の優しさプライスレス。


4.最終決戦

 ヴィランたちとの最終決戦は自由の女神像キャプテン・アメリカの盾を持ってる)の上で行われることになりました。過去作スパイダーマン同士の会話に癒されます。ストレッチして兄弟気分を味わったり、自分を卑下するアンドリューピーターに「君はアメイジングだ!」と繰り返し励ますトビーピーターに、ニヤッとした観客も多いのでは。

 最初は上手く連携を取れなかったスパイダーマン1・2・3ですが、スパイダーセンスを活用して着々とヴィランを治療していきます。一方MJとネッドは敵に襲われて助けを呼ぶためにゲートを開くのですが、そこから現れたのはなんとドクター・ストレンジでした。ドクター・ストレンジは閉じ込められたことに憤慨していましたが、ピーターの活躍を知って素直に感心します。そういう素直なところ、とてもいいと思います。
 ヴィランの攻撃で足場が崩れ、MJとネッドが落下します。MJを救ったのはトムホピーター……ではなくアンドリューピーターでした。彼は自分のMJことグウェンを、時計台からの落下死で失っています。MJを抱きかかえ地面に降り立った彼の表情には涙が止まりませんでした。彼もこの作品で救われた一人ですね。ネッドの方はマント君が助けてくれました。マントを羽織って地面に降り立つネッドの神々しさ……もしや今後ドクター・ストレンジの弟子としてヒーローデビューするのでは? と思うくらいの貫禄がありました。

 一方ピーターはキャプテン・アメリカの盾の上でオズボーンと戦い、あわや彼を殺しそうになります。それをとめたトビーピーターが刺されてしまいます。命に別状はないようでよかった。とはいえメイを殺されて、あんなにも優しく正義感に溢れたピーターがあわや闇落ちしそうになるというのには、人間の闇というか抗えぬ怒りという感情の恐ろしさを感じて、少しゾッとしました。

 無事にヴィランは全員人間に戻りました。救いはここにあったんだ!


5.みんな救われた。でも彼は?

 こうしてヴィランは人間に戻り、元の世界に戻っても殺されない未来ができました。しかし、乱れたマルチバースの隙を狙っている者たちがいます。ピーターはドクター・ストレンジに言います。「みんなの中からピーター・パーカーの記憶を消して欲しい」と。世界のすべての人からピーター・パーカーの存在を消せば、敵もピーターを狙わなくなるし平和になるということですね。しかし、それはつまりピーターは誰からも忘れ去られ、本当の意味で一人ぼっちになるということです。ドクター・ストレンジは再三確認しますが、ピーターはそれで構わないと言います。MJとネッドに最後のお別れを言い、必ず彼らに会いに行くと言い残して去っていきます。

 みんなの記憶が消されてしばらくして、ピーターはMJに会いに行きます。コーヒーを頼みながら、事のあらましを一度は話そうとします。しかしネッドと楽しそうMITの話をする彼女を見て、考えが変わったようでした。自分が居なくても彼女は幸せになれる。そう思ってしまったのでしょう。ネッドには声すらかけませんでしたが、彼を見つめるピーターの目は慈愛に満ちていました。最後にMJからコーヒーを受け取り、さよならをするピーターは痛々しいほどに優しい目をしていました。彼はMJを心から愛しているのです。愛しているがゆえに言えなかった。でもそれは本当に正解でしょうか。この映画で救われなかったヒーローが、きっと幸せになることを願っています。


6.おまけ

 ヴェノム、めっちゃ巻き込まれとった。でもお代はちゃんと払いな。